蛍石 fluorite CaF2  [戻る

等軸晶系 n=1.43〜1.44 スライドグラスの接着材よりも屈折率が低いため,平行ニコルでへき開の割れ目や粒界が長石類よりもはっきり見える。

形態:通常は他形で他鉱物の間を充填するように見られる。

色:無色。

へき開:顕著で,4方向(8面体方向)に認められるが,薄片の方向により1〜3方向しか見られないことも多い。

双晶:しばしば存在するが,等方体なので光学的には認められない。

累帯構造:ペグマタイトから産するものは少量の希土類を含む場合があるが,光学的には無色で累帯構造は認められない。

産状

通常の岩石の造岩鉱物としてはほとんど産しない。チタン鉄鉱系花こう岩地域のスカルン帯・中温〜高温の熱水脈・気成脈・ペグマタイトに,他鉱物のすき間を埋めるように不規則多形をなし,まとまって見られることがある。




スカルン中の蛍石 Fl:蛍石,Gro:グロッシュラー,Wo:ケイ灰石
無色でグロッシュラーやケイ灰石の微粒集合体の間を充填する。へき開がある((1 1 1)の4方向にあるが1〜3方向のへき開線しか見えない場合も多い)。平行ニコルでは,一見,方解石に似るが,蛍石はへき開の完全さが劣り,かつ,クロスニコルでは暗黒。
なお,グロッシュラーは丸い小粒状集合体でクロスニコルで暗黒,ケイ灰石はグロッシュラーの粒界を満たしクロスニコルで1次の灰〜白色の干渉色を示している。